台風が秋田県へ近づくとき、「建物の戸締まりや停電対策はしているが、クレーンまでは確認できていない」という工場・倉庫もあるのではないでしょうか。

強風で屋外クレーンがレール上を勝手に動く「逸走」が起きると、ストッパーへの衝突や脱輪、最悪の場合は転倒・横転につながります。クレーン本体だけでなく、建屋や製品、周辺設備が被害を受ければ、操業再開が大きく遅れるおそれがあります。

台風対策は、人と設備を守る安全対策であると同時に、事業を早く再開するためのBCP(事業継続計画)です。本記事では、秋田県の工場・倉庫で確認しておきたいクレーンの台風対策を、接近前・通過中・通過後の順に解説します。

秋田では「台風が離れているから大丈夫」とは限りません

秋田県では、台風そのものだけでなく、台風から変わった温帯低気圧が日本海を発達しながら進み、強い風をもたらすことがあります。実際に秋田地方気象台は、過去の台風接近時に沿岸陸上で最大瞬間風速30~35m/sを予想した事例があります。

また、沿岸部、開けた敷地、建物の角、搬入口付近では、周囲より風が強くなる場合があります。天気予報の数値だけで判断せず、現場の立地やクレーンの設置状況まで含めて備えることが重要です。

まず確認したい逸走と横転の違い

逸走とは

走行クレーンが強風に押され、運転操作をしていないのにレール上を動いてしまうことです。走行ブレーキだけでは保持できず、クレーンが加速して車止めへ衝突するケースも考えられます。

横転・転倒とは

逸走後の衝突、脱輪、強い横風などによってクレーンが大きく傾いたり、倒れたりする状態です。特に屋外の橋形クレーンや門形クレーンは風を直接受けるため、確実な対策が欠かせません。

なお、屋内に設置された一般的な天井クレーンは、通常、屋外走行クレーンと同じように風を直接受けません。ただし、シャッターや扉の破損、屋根・外壁の損傷、雨水の浸入、停電・復電による電気系統の異常など、台風後ならではのリスクがあります。屋内クレーンも無関係と考えず、建屋と一体で点検しましょう。

法令上も、暴風時の逸走防止と暴風後の点検が必要です

クレーン等安全規則第31条では、瞬間風速が毎秒30mを超える風が吹くおそれがあるとき、屋外に設置された走行クレーンに対して、逸走防止装置を作用させるなどの措置を講じるよう定めています。また、同規則第31条の2では、強風により危険が予想される場合、クレーン作業を中止しなければならないとされています。

さらに第37条では、屋外クレーンについて瞬間風速30m/sを超える風が吹いた後に作業を再開する場合、あらかじめ各部分の異常の有無を点検することが求められています。

30m/sはそこまで作業してよいという意味ではありません。風の急変、つり荷の受風面積、クレーンの種類、メーカーの取扱説明書、社内基準を踏まえ、危険が予想される段階で早めに中止してください。

台風接近前に行う7つの対策

1.早めに作業中止の判断をする

担当者の感覚だけに頼らず、「注意報・警報」「現場の風速」「メーカー基準」など、作業を中止する条件と判断者をあらかじめ決めておきます。夜間や休日に台風が接近する場合も想定し、誰が最終確認を行うか明確にしましょう。

2.つり荷を下ろし、フックを安全な位置へ戻す

つり荷を残したまま退避してはいけません。荷を安全な場所へ下ろし、フックやつり具は風で振れたり周囲へ接触したりしない、メーカー指定の待機位置へ戻します。

3.逸走防止装置を確実に作動させる

レールクランプ、アンカー、ストームピンなど、設備に備えられた逸走防止装置を取扱説明書どおりに使用します。固着、摩耗、変形、操作不良がないかも確認してください。

現場判断でワイヤロープを掛ける、適当な物を車輪止めにするなど、設計されていない方法で固定するのは危険です。装置の種類や操作方法が分からない場合は、クレーンメーカーまたは点検業者へ確認しましょう。

4.走行ブレーキとレール周辺を確認する

ブレーキの効き、車輪、レール、車止め、締結部に異常がないか確認します。レール上の資材、落下物、ごみなどは撤去し、排水口や側溝の詰まりも取り除きます。

5.電源を安全に遮断する

停止手順に従って主電源を切り、操作盤やペンダントスイッチへの雨水浸入を防ぎます。ただし、逸走防止装置の作動に電源が必要な機種もあります。必ず設備ごとの手順書に従ってください。

6.飛散物と建屋開口部を確認する

屋外に置かれたパレット、シート、看板、端材などは、強風で飛ばされてクレーンや給電設備を損傷するおそれがあります。固定または屋内へ移動してください。屋内天井クレーンでは、シャッター、窓、屋根、外壁など建屋側の対策も重要です。

7.対策完了を写真とチェック表で記録する

「誰が、いつ、どこを確認したか」を写真とチェック表で残します。口頭確認だけにせず、担当者が不在でも状況を把握できる状態にすることがBCPにつながります。

台風通過中にしてはいけないこと

対策のやり残しに気づいても、暴風が始まってから屋外へ出るのは非常に危険です。クレーンの確認や固定は、風が強くなる前に終わらせてください。

また、異音や警報があっても、危険な状況で無理に近づかないことが大切です。人命を最優先にし、安全な場所から状況を確認します。

台風通過後は、すぐに運転しないでください

外見上は問題がなくても、レールのずれ、車輪の浮き、固定部の緩み、ブレーキの不具合、電気系統への浸水などが起きている可能性があります。再稼働を急ぐほど、二次災害の危険が高まります。

再開前は、少なくとも次の項目を確認しましょう。

  • クレーン本体の傾き、変形、亀裂、ボルトの緩み
  • 車輪、走行ブレーキ、レール、車止めの状態
  • 逸走防止装置の変形、損傷、解除状態
  • ワイヤロープ、フック、シーブ、ドラムの異常
  • 給電線、配線、制御盤、押しボタンの浸水や損傷
  • 屋根、梁、ランウェイ、シャッターなど建屋側の異常
  • 周辺の飛散物、落下物、冠水、足元の安全

異常がある場合や判断に迷う場合は、運転せず、立入禁止措置を行ったうえで専門業者へ相談してください。確認後の試運転も、取扱説明書と社内手順に従い、無負荷・低速から慎重に行います。

クレーンの台風対策をBCPに組み込むポイント

効果的なBCPにするには、点検項目だけでなく「いつ、誰が、何を判断するか」まで決めることが大切です。

  • 台風情報を確認する担当者と代行者
  • 作業中止を判断する基準と責任者
  • クレーンごとの停止・固定手順
  • 夜間・休日の連絡網
  • 通過後の立入禁止、点検、再開承認の流れ
  • クレーンメーカー、点検業者、電気業者などの連絡先
  • 交換部品、工具、非常用電源の保管場所

年に一度は、台風接近を想定した訓練を行いましょう。逸走防止装置が固着して動かない、専用ハンドルの保管場所が分からない、担当者しか操作方法を知らない――こうした問題は、本番前の訓練で見つけることができます。

秋田県のクレーン点検・台風対策は、たまクレーンサービス秋田へ

台風が迫ってから不具合に気づいても、部品の手配や修理が間に合わないことがあります。平常時の点検で、ブレーキ、走行装置、レール、車止め、逸走防止装置、電気系統の状態を確認しておくことが、被害と操業停止を防ぐ近道です。

たまクレーンサービス秋田では、秋田県内の工場・倉庫に設置された天井クレーンなどの点検・メンテナンスについてご相談を承っています。

「逸走防止装置が正常に動くか不安」

「台風後、運転を再開してよいか判断できない」

「自社用の点検チェックリストを整えたい」

このようなお悩みがありましたら、お早めにご相談ください。設備と現場に合った対策を一緒に確認し、秋田の工場・倉庫の安全と事業継続を支えます。

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